2011年7月25日月曜日

カプートの別荘へおいで

星を継ぐものの続きはこれ。謎が解決していないと気持ち悪いでしょ」と、差し出されたのは、
ガニメデの優しい巨人」ですが、なんだか遅々として進みません。

なんというか、話の構造がソリッド的フィクションというか構造的というか。
私は構造物の間をたゆたうような流体のような人間のゆらぎを読むのが好きなのかもしれません。
でなければ、ノンフィクションや科学読本に、どきどきします。


でも、ガニメデの名前にひかれたんです。
そうそうたしかあれは吉野朔実だ、と、本棚をあさりました。
ECCENTRICS」の4巻の最後に収録されている短編「カプートの別荘へおいで」の、
工学部の大学生「たみを」が作ったロボットの名前がガニメデ1号です。

28歳で大学に通う「のはら」が好きになった「たみを」は、
「のはら」が高校のときに付き合っていた「皆位君」の恋人だったのでした。

「いいのよ なにもなかったんだから
なにも約束していない
なにも起きていない
私は変わらない
あなたは はじめからいなかったのよ
わたしは誰にも 会わなかった
わたしは 誰にも 期待していない 」


20代の当時、この台詞がしみました。
それから年を重ねて、経験も積んで
人生のからくりもだんだん分ってきて、気持ちの振幅も小さく安定してきましたが、
でも、だからこそ、まだまだ皮膚の薄かった自分を守るためのその術が懐かしく思えます。

先日、知人が、「うまく自分をドライブして生活していくためには、期待しないこと、だよ。」
と言っていましたが、私は、「それってもったいないよね、せっかく生きてるんだから。
心配したり期待したり喜んだりしながら、たくさん考えるところに醍醐味ってあると思う。」と
思っていたので、そう言いました。

逆に、もう期待して傷つくほどやわじゃない、んだと思います。



愛が孤独を救うことはないのだ
恋だけが一時 人の孤独を忘れさせる












誰かと交わったり何かを共有したと思うこと自体、幻想ですが、
忘れたと思える瞬間ってやっぱりあって、
それが恋という衝動または突入電流なのであって、
生き物がつながっていける、からくりなんだと思います。

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