2011年1月4日火曜日

Waltzing With Bears 熊とワルツを

 先日の家族忘年会の時にGさんが読んでいて、タイトルが面白そうだったのでめくってみたら
ぷぷっと笑えたのでそのまま奪って読み始めた。
Gさん「随分前に買ってそのまま読んでない本や。面白いと思う人がまず読めばいいよ。」

帰省の往復で読み終えた。プロジェクトのリスク管理の本です。
タイトルは、どこかの歌からとったものだそうで、リスクという熊とのダンスを楽しみながらソフトウェア開発を進めるべし、というメッセージらしい。本のそこかしこにちりばめられたエピソードは、ソフトウエアプロジェクトでなくともモノを作るプロジェクトに携わった者であれば「あるあるある~こんなんよくある~」と思ってしまう。ブラックである。

たとえば最も起こりうる最も大きなリスクについて、われわれは目をつむりたがる。
特にプロジェクト開始前から「納期に間に合わない可能性大」というリスクが非常に高いのに、誰もそれをリスクにあげようとしない、とか。仕様がいまだにFixされていないのに(または、納期に対するその仕様はありえないだろ、的な状態なのに)、そのリスクは無いものとされてしまうとか。

チームリーダー「この件については明日会議を開きますが、事態は悪化しそうです。」
プロジェクトマネージャー「では会議をやめよう。」


幸運に任せる前向き文化、やればできる論に任せずに、リスクについてプロジェクト開始前にリスト化し、その確率を数値化し管理しようというもの。プロジェクト完了日についても確率で監理し、目標を若干高めに置くここと。 (そう、数値化できないものはコントロールも改善もできないのだ。)

あらゆるソフトウエアプロジェクトに共通のリスクとしてあげられているものか以下の5つ。
(1)スケジュールの欠陥
(2)要求の増大
(3)人員の離脱
(4)仕様の崩壊
(5)生産性の低迷
これらのうち(4)仕様の崩壊については、笑えるけど笑えない。
製品仕様はプロジェクトの初期に合意する必要があるが、大抵はそうはいかない。人々は合意することになっている。協力することになっている。
他にも、リスク発生の検出における進捗メトリック、EVR(稼得価値)、リスク軽滅のためのインクリメンタル手法の説明あり。究極のリスク軽滅戦略は「早くスタートすること」だそうだ。そりゃそうだ。
数量化の方法も書いてあるが、本書はリスク管理の概念がメインで、具体的なメソッドやツールについてはあまりない。(ツールとして書かれているURLへのリンクがある。)

リスクも数値化して監理してみたらいいかも、できるかも、と、まず一歩を踏み出そうかと思わせる本。

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

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