2012年11月29日木曜日

ふがいない僕は空を見た


たしか、夏の日。
生物の実験で、バッタを捕まえておなかを切り精巣を取り出し顕微鏡で観察するっていうのがあった。

教室で汗かきながらバッタの背中を、人差し指と中指、親指でつまみ、おなかにナイフを入れる。
そのときのバッタのうねる感触は今でも手に残る。生きてるってキモチワルイ。
しかしなんでわざわざ生きてるバッタのおなかから精巣を取り出さなくてはならないのか。

この本を読んでいたら、なぜだかそんなことを、あのうねる感触を思い出してしまった。
濡れ場もあり、読みやすい文体、解説を書いている重松を読んだ時のような涙もでるけど、
私たちが抱えて生まれてきた、”やっかいなもの”は性つまりは生そのものだな、ということを丸めて差し出されたような気持ちになった。



ふがいない僕は空を見た
















恋っていうのは生殖への突入エネルギーで、生をつないでいくためには不可欠なものだと思う。
けれど、あのさまざまな様態を愛っていう名前をつけて、ひとまとめにしてしまった最初のひとってすごいなと思う。生き物がただ生きるだけだったら、愛っていうのがなくても恋だけで充分なような気もする。いやいや愛っていうのがどんなものなのか、実は私にもよく分からないんだけれども。

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