香水には、いやな匂いがちょっとだけ混ざっているんだそうだけど。
伊坂幸太郎の書く物語には、ちょっとだけいやな部分があってそれが全体として好きな質感味だった。物語の核には人の情感のようなものを感じていたのだが。ちょっとハチャメチャな陽気なギャングが地球を回すにだって読後感はしっとり。
魔王やゴールデンスランバーあたりから、全体の匂いが変わってきて、うーんもう読まないかもな...と思っていたけれど、文庫本になってお求め安かったのでつい手に取った。(家にいて暇だったし)
我々はシステムにおけるモジュールのひとつに過ぎないし、”いったい何が真実でどの情報が正しいのかはっきりしない”というモチーフは、もっともだしとても興味深いけれど、もっと違う調理のしようがあるんじゃないかなあ。素材まんまに伊坂調味料を振りかけても、あんまり美味しくない。
もちろん、本書は面白いし仕掛けもあって楽しめるしするするっと上下巻一気に読めてしまうのだけど。
人間は大きな目的のために生きているんじゃない。もっと小さな目的のために生きている。
そんな小さな人間の情感のある物語のほうががやっぱ好きだ。
モダンタイムス(上)
モダンタイムス(下)
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