2011年6月13日月曜日

会社は人件費を何に払いたいのか、を考えてみるに。

アンダンテさんのところの

つまり、高専卒にはかなりの割合で「使い捨て労働力」としての役割が求められており、実際問題、数年以内の離職率は高いといわれている。就職はできる…でも..(以下略)

の記事を読んだら、
むーん、そうなのかー、でもそれはどうしてなのか、とか考えてしまった。
(今の高専と昔の高専は違う(←と、知り合いの先生も言ってた)と思うけど、とりあえず。)
私の場合、高専中退、浪人、大学(文転したものの希望の学部は×、文系なんだか理系なんだかというところに入り、受験失敗に鬱屈とした4年間を過ごす)、その後理系な仕事について20年。そして今も仕事を続けている。

入社した当時は、同じ会社に偶然にも高専時代の元のクラスメイトや違う学科の同輩、後輩、先輩がいたけれど、今同じ会社に残っているのは...あれ、一人もいない。違う会社に就職した女子たち、あれ、一人も残っていないです...。研究部門もあり製造部門、企画部門さまざまだけれど、女子の場合は全て退社し、たぶん専業主婦へ、男性の場合は関連会社へ出向もしくは異動となっている。

けれど会社側が高専卒ということで「使い捨て」的待遇を取っているのかというと(私のいる会社の場合ですけど)、少し違うような気がする。会社が中堅以上の社員に対して求めるものは、
技能(技術スキル)を実際に使える人間ではなくて
・技術を理解できること
・必要な技術を見極める嗅覚
・実際に起こる複合問題の要因分析
・プロジェクト遂行能力(人をまとめる)技術
...などの人の気質による部分を要求するようになると感じている。技能は外から買ってしまえばいい、と考える。ツールでも、技能でも人でも。

人でしか出来ない部分に高い人件費を払いたいわけです。
問題を掘り起こし、定義する部分。
人と人とのインターフェースの部分。これ、大事よね。

一方、私のもとクラスメートたちは、
・(S/W、H/W)技術が好き
・もくもくと遂行する
・優しい、
・ムードメーカとなり人を引っ張っていく、というより縁の下でコツコツ...
な感じ。 もちろん一人一人みんな違うけれど、まあ傾向として。

ある程度大きな会社で働き続けるには、会社が求める方向に自分を変えていけるかどうか、自分の居場所をすばやくみつけるかどうかによるのかな、と。
職人的スキルをずっと活かして働きたいなら、会社を選ぶ必要がある、と思う。
大きな(古い)会社より、小さめの会社のほうがいいのかも。自営で技術を売るとか。

...考えたのはここまで。

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あとはつれづれに。あくまでも個人的な考えです。
高専時代、中の良かったAさん。彼女は中学時代、地域一斉の模擬テストでもトップに名前があったくらい優秀だった。テスト前にはよく一緒に勉強をした。当時は私もとても良く勉強していた(笑)。問題の大雑把な解き方を考えるのが私は好きで細かな計算が不得意、Aさんは緻密に数字を追ってゆく。分担すると効率的に勉強が進んだ。
彼女は人前に出ること人と話すことが苦手で、バイトも人と接さない仕事を選んだ。クラスでも常にトップの成績、国立大学に編入し、卒業後は大会社に就職した。けれど、すぐ会社をやめてしまった。配属先が企画系。企画を考え取りまとめる仕事ではなく技術ど真ん中の仕事がしたかったのだそうだ。
(一度、彼女の家に遊びに行ったとき、旦那さんは朗らかで、がはがはと笑う関西の人だったけど、これは今でもとても良く分る。のほほんGさんに通じるものがある、かも。)

知り合いの男子の同窓生(卒業してないからちがうか...)は、ほぼ、関連会社へ。
製品開発部へ配属された女子は、締め切り前の激務に耐えられず、退社。これは高専・大学出身問わず。
研究所配属の後輩たちは、やめて専業主婦へ。年に数本の論文ノルマやヘンな人が多い研究部門は人間関係がしんどい、みたい。
そういえば時々一緒に仕事をする男性は、高専卒でやはり20年近く働いているが、かなりニッチな技術を開拓して深堀邁進中である。

今は新入社員に高専卒をみつけるのはなかなか難しい。修士卒が多い。

女子の場合、高専卒じゃなくても入社時の10%しか残っていないから、出がどこであれ、20年も働くことのほうが珍しいかも。私の出た大学から今の会社に入社する人は今後いない、と思う。今の部署に配属となったのも人脈と情報、そして運である。運は待っているだけじゃめぐり合えなくて、センサーを働かせていないと呼び寄せられないと思っているし、人脈はとても大事だ。(高専時代、面白そうな教養系の先生を見つけてはよく遊びに行っていたのが役に立った。)
いろんな人を見ること話すこと、関係の無い分野でも足を突っ込んだりすることって実は人間の栄養になっていると思う。

高専にいる5年間では、必要な技能やスキルを磨くことで時間的に精一杯だし、集まってくる人の気質がわりと似ているので、その外側にある回り道に立ち寄っている暇はあまりない。一般教養的な科目が苦手だからここに来たという子が多かったし。

今となっては、若い頃はリベラル・アーツの分野を、回り道しても、と思うんだけど。
(今となってだから思うわけで、当時はなかなか考え及ばなかった。)


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高専の2年生くらいの時、友達と登校中の電車の中でのこと。となりにテスト中らしい高校生が、家庭科のテスト対策で根菜の切り方を覚えていた。なんとか切り、とか。それを聞いて一緒にいた友達が
「いいよねえ~、普通の高校生は楽ちんで。野菜の切り方なんか覚えてさ。あたしたちなんか...。」みたいなことを言った。
それを聞いたときに、私は逆に「このままじゃまずい。」って思った。普通の高校生が知っていることや大学受験を契機に詰め込まれる一般教養とか、そういうものを知らずにこのまま技術スキルだけを覚えて就職してしまうのはいやだ、と思ったのだ。さらに、そういうことを軽視した言い方をしてしまう友人たちの風潮がなんだかいやだったのだ。
やりたいことは、ここじゃないとちょっとは感じていたけれど、"大学"へいこうと思う気持ちが芽生えたのは、たぶん、このあたり。


4 件のコメント:

  1. 高専・・・エヘ ウチのお隣なんですよ^^  
    s子が小学校の1,2年の頃高専の部活にお兄ちゃん達に混ざって一緒に参加させてもらってました 小さい女の子相手にやりにくかったと思いますがそれでも気を遣ってくれたりとみんな優しくて~笑 良い思い出です
    お隣ですので高専祭も何度も遊びに行っていますが 
    バリバリ技術系の男子の学校のイメージが
    行ってみて驚いたことは女子の多さ 意外でした~  
    私の生活圏には女子は誰もいなくてそう言う世界は全然未知なる世界でしたけどaniaさま始め実は実はたくさんいらっしゃるのですねー技術系女子 
    今年は主人の姪っ子が公立進学校を辞退してお隣の高専に入学しましたが何だか自分のやりたいことが見つかってる子は凄いな~と思ってましたよ

    就職の事に関してはまったく分ってませんがでも会社や企業が求める人材はaniaさまがおっしゃる通りで・・・
    個人のスキルだけでなく要は人としてどれだけの能力を持っているか・・・だと思いますね
    会社だって人が動かしているのですからね 
    娘もこの辺りが弱過ぎて今後どうなることかと・・・
    もっといろいろ経験して幅の広い人に育って欲しいと願うばかり デスが うーむ(-_-) 

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  2. 野菜の切り方も金属の加工の仕方も知ってる(できる)っていいなと思うの。あ、またろうは野菜も切れるけど(^^;;

    あとは人間関係と生活能力(物と時間の管理)が大きな課題ですかね。飲み会でバカ話できるとかも大事。やっぱり大学で遊んでおくっていいと思うけどなぁ~

    今回の記事は我が家向けのスペシャルサービスですね(^^)
    たいへんありがたく拝読しました。

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  3. noi さま。

    見たり聞いたりすることに無駄なことってないと思うんですよねー。みんな栄養。
    そして会社勤めが、本人にあってるかどうかってのも人それぞれだと思うし。
    きっともっと自分に合うもの、もっと楽しめるものがあるはず、と、いつまでもうろうろと探すのかもしれませんね。
    じーさんばーさんになってもそうありたいです。

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  4. アンダンテ さま。

    考え始めちゃうと、どっかで考えを降ろしておかないと、ずっと頭の中に言葉が不安定に泳いでいる感じで気持ち悪いんですよね~。

    会社勤めを長く勤めることを目指すのって、またちょっと違う気もしますが(逆に、それが出来ることのほうが不健康だったりして!)、
    どこを目指すにしろ、いつか「はっ」とこっちに行きたいって思う瞬間がくるんじゃないでしょうか。

    私なんか「はっ」としすぎて振り出しに戻っちゃいましたからねえ。
    でもちゃんと生活できてますから、大丈夫だと思いますよー。
    Gさんなんか、「ボクなんかなーんもかんがえてないもん。このままふらふらとじーさんになる」、って言ってます。
    それでも、家の中はまったりさが維持できてますから(笑)。

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