2011年6月6日月曜日

役に立つ、じゃなくて、頼りになる

お気に入りのポールスチュアートのジャケットは生地の織り方が繊細。ガサツな私はバッグの金具を時々引っ掛けてしまって、ジャケットの生地の糸が所々ほつれてしまってます。クリーニングに出そうという段になって、これらのほつれを見、えい、多少強引にでも鍵針で布地の裏に押し込んでしまおう、と思って悪戦苦闘していたら、Gさんがやってきて、「あ、やってやるよ。」。

針と糸通しの2本使い、しばし、そして、ほつれが、見えなくなった!
私はすごいすごいを連発しました。

そのことを娘に話をして、「ね、Gさんってさあ、役に立つでしょ!」と言ったら、
「”役に立つ”って、その日本語おかしい。”頼りになる”だよ。」とGさん。
「あ、そうか、そういう日本語をあてがうんだねえ。」
「そうだよ!」(力説)
「そうかあ。たよりになる、たよりになる、たよりになる。 」
「...?」
「あ、練習してんの。あんまり言いなれない言葉だからさ。」
「おう、一日3回練習してや~。」

思えば、日常生活で”頼りになる”という状況に甘んじたことは、最近より以前、ずっと無かったような気がする。誰かを頼りにするって、そこに一旦陥って、デフォルトになってしまうと、もしもの非常時にはその状況から脱出できなくなるような気がして、ちょっと怖くもあります。
だから意識的に頼る(というか、分業ね)ようにしようと思います。


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帰国子女のKさんに、「娘がテスト中でさー」、という話をして。
「でもさ、あの頃って勉強する意味も分らなくて詰め込む時期で、きつい時期でもあるよね。
でもきつい時期だけど、とにかく知識詰め込むことで見えてくることってあると思うんだよね。」
「そうですね。私ももっと勉強すればよかったって思いますよ。中学高校の頃って分んなかったけど、
大人になって実感しますよ。もっとっもっと勉強すればよかったって。物の考え方とか価値観とか付き合う友達とか、そういうのが広がるんですよ。」
Kさんは、中学まで米国育ち。帰ってきて勉強しようにも、まず日本語、特に漢字が分らなくて日本の歴史の授業は、まるっと分らなかったらしい。

「でも今からでも遅くないよね。」
「そうですねえ。歴史、ほんとは好きなんですよ、アメリカ史とか世界史とか。
日本史って今からだったら、どうやって勉強すればいいですかねえ。」
「ベタだけど、歴史小説とか、大河ドラマ見るとかは?今やっている江はラブコメみたいで笑い楽しめるよ。」
「江って?」
「織田信長の妹のお市の方が生んだ3姉妹の末娘で...」
「お、織田?」
「織田、豊臣、徳川は知ってる?」
「聞いたことことあります!」
「フィギュアスケートの織田は?」
「あ!知ってますよ~織田信成でしょう。ああ、あの先祖ですか!?」

.....Kさん、きっと新鮮で楽しいぞ、日本の歴史。

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朝、5時過ぎに起きて、娘の暗記物にご飯を食べながら付き合った。
娘は、ノートと教科書の情報を新しくまとめ、自分の”まとめノート”を作ってそれを覚えるタイプらしい。(今回知った)”まとめノート”は2色使い、全ての教科を一冊に。(たぶんこのノートはテスト後捨ててしまうんじゃなかろうか)

資本主義経済の成立のところを、一緒に読み上げていたら、思い出した。
「ああ、そういえば、資本主義と民主主義ってさ生まれが同じな双子みたいなもんで、キリスト教の土壌の上に成り立つって書いてあったよ。読んだ本に。まだあったはず。」と、だだだと本棚に走る母。あった、痛快!憲法学だ!
「ほら、ウエーバーの「エートスの変換」。エートスっていうのは行動様式のことで、カルヴァン信者になればエートスが変わる、ということらしい。つまり、予定説を信じればまず労働に対する内面の動機が変わる。ウエーバーの言っている「資本主義の精神」というのはこのエートスのことでその資本主義のエートス変換の触媒となったのが予定説なんだって。予定説によって人々の間に「労働は救済の手段であり隣人愛の実践である。」という考え方が生まれた、これが資本主義の第一段階になったって書いてあるよ~(適当にかいつまむ)。それでさ...。」

「ち、ちょっとー。もうこれ以上余計な情報を入れないでよ。せっかく覚えたのが崩れるじゃん!。」
「あ、はい、すんません...。」


2 件のコメント:

  1. Gさんなかなかデキル男ですね 笑!
    素晴らしい~ ウチにもデキル男がいますよ
    ほつれたボタンを生地に残っている糸で付け直す あの技を見た時はまるでマジック見たかのように感激!しましたよ 
    ちょっと大げさですが 笑!
    でも自分に出来ない事、苦手な事を軽々と補ってもらうともう最初からアテにしてしまいますね
    でもそんな存在がすごく身近にいてくれて有難いけれど極力自力で頑張らねばと思うのも事実 

    よーく 分りまするよその気持ち aniaさま 

    んで娘も・・・テスト勉強のも
    いつまでもチチをアテにせずに一人でやって欲しいのですが 

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  2. noi さま。

    繕いもの、というより、ほとんど工作の分類ですね。
    プラモデルの細かい組み立ては男の子が得意ですもんね。

    ずっと娘と二人暮しだったもんで、誰かに頼るのが当たり前になってしまうと、
    ずるずると怠惰になってしまい、イザという時に戦えない気がして(笑)。

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