2011年6月1日水曜日

食卓にあがった放射能

1泊出張。学会で発表。
発表は緊張もせずに終えたけど、長時間新幹線乗ってオシリがいたい。
(もう眠いので、誤字脱字はおいおい直す。)

講演の中に福島の原発事故についての特別セッションがあったので、聴講した。
後援は日本原子力技術協会最高顧問 石川氏。
原発推進派ということらしい。(私はそっち方面は詳しくないので分りませんが。)
事故の経緯の説明、安全性について(多様性と信頼性の両立)、設計要求仕様の考え方、などの話があった。チェルノブイリまで考慮されていなかったと言われてきたヒューマンI/Fに加えて、今後は地球とどのようにI/Fをとっていくのかも考えなくてはならない、とのこと。

米国のスリーマイル島原発事故の事例から、炉心は燃料が形状を維持せず圧力容器下部に崩れ落ちた状態であることは早い段階で推定できたはず、としている。事例と実験・原理を目の前の状況にマッチングする能力が今のエンジニアには欠けているのではないか、と、言っていた。原発の黎明期・立ち上げ期、と、維持期の現在とでは、エンジニアに求められる能力や経験値も違ってくるし、この非常時において働かせなければならない能力のマッチングの問題もあるのではないか、と、聞きながら思った。
氏は、現在は非常時であり、平時の基準で対処していたら、事は遅れるばかりだと言う。20~100mSvであればそれほど人体には被害が無い、という...。(ほんとか?)


そういう考え方もある一方、基準値は最悪ケースを想定し、それでも安全率をかけるくらいの値にすべきという立場をとっているのが「食卓にあがった放射能」。本書を読むと20mSvがどれくらいか、野菜の放射能基準の2000ベクレルがどのあたりに位置するのかが分る。(タイ、フィリピンなど東南アジアの輸入基準は540ベクレル以下と低いし、シンガポールはどんなレベルの放射能も許さないという立場をとっている。)
基準値とは、ここまで摂取してよいという値ではなく、摂取しないほうが良いのはあたりまえ。
特に単位あたりのベクレルではなく年間摂取量として考えなくてはならない。主食は、ベクレル数が低くても要注意だ。

多くのデータ(主にチェルノブイリに関するデータ)が掲載されており、1冊読むと、ベクレルとシーベルトの巷で言われている値がどれくないなのか、という感覚がつかめる。


さまざまな数値があって、どれが本当に安全な基準なのか分らない。
(そもそも精度の良い測定器は効果で個人では持てないから、測ることも出来ない。)
立場違えば値の評価の仕方も違う。結局は自分で決める、しかない、のだと思う。


食卓にあがった放射能












メモ:値は1990年当時のもの。変更されたものもあるかもしれないけど調べてない。

【放射能の単位:ベクレル】1秒間に1回原始が変化する(壊れる)ことに相当する放射能量。
【被爆線線量:シーベルト】放射線が人体の体の単位質量あたりでどれくらいのエネルギーを失うか。
(α、Β、γ、中性子線では人体の化学結合に与える影響に違いがでる。)

【ベクレルとシーベルト】
・被爆線量(ミリシーベルト)=線量係数×放射能摂取量(ベクレル)
線量係数: セシウム137 1.4、セシウム134 2.0、ヨウ素131 1.4(経口)  0.89 (吸入)

・職業人の年間放射線限度にあたる50ミリシーベルトの被爆を受けた場合のがん死する確率
(本には計算方法記載)
国際放射線防護委員会(ICRP)の評価では1/2000
ゴフマンの評価では1/50(50人の労働者に一人が毎年死んでゆくことになる)
→大きくばらつく

・輸入食品 暫定基準値 370ベクレル/kg
・チェルノブイリ原発事故語の諸外国における食品放射能に対する基準値
→日本の基準は諸外国と比較して高い。
・汚染は干ししいたけ、ナッツ類に蓄積しやすい。
・事故後、放射能期待への放出後いったん低下するが、数ヵ月後に水、土壌汚染からの吸収があるため再び増加する。
・特に主食の米・小麦などについては年間摂取量が多いため、kgあたりのベクレル数が小さくても要注意。

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