2010年12月17日金曜日

感染宣告

本のタイトルが見えないようにして出張の行き帰りに読む。
朝から頭の中がどっぷり濃い内容に浸かってしまった。
新幹線おりて出張先へ向けて戦闘状態になかなか入れない。

石井光太のルポはこれまで何冊も読んできている。使う言葉や文章が美しいとか感情が言葉にしっくりくるとかじゃないのだが貧困・セックス・人身売買など興味を抱くけれどタブー視してしまうテーマを直球で書いてくる。その人間像から目が離れなくなるのだ。
統計ではなく人間を見たルポである。

石井光太がどんなテーマを扱うのか、
このテーマをこんな風に切り取るのか、
人はその時こんなふうに対峙するのか、
そして文化や価値観がこんなにも違うのか、
...
そこのところで、自分の目が開く。


HIVはもはや死ぬ病気ではなくなっている。(しかし日本は先進国で唯一、新しい感染者が増加しているという。) きちんと対応すれば子供だって産める。だけれどHIV自体ではなく、その感染のあり方が、人間がつながっていく男と女の関係の隙間に入り込む。生物としてヒトが生きていくということは、男と女がセックスをして子供をつなげていくことだということは確かだ。その部分は大きい。しかし人間が生きていくということは、それだけでなくてもいいはずだ。生きる、そのこと自体が目的だっていいはずだと思う。

けれども、感染宣告は、繊細な心の持ち主からそんな人間のプライドのひとかけらさえも奪ってしまう。そんな恋人たちや夫婦家族がどんな選択をしていくのかをインタビューをもとに構成されている。

そのうち、HIVはそのへんのウイルスとおんなじ扱いになるのだろうか。



感染宣告―エイズなんだから、抱かれたい―













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会社で、同僚に「性に関する話、ウチではするけど?」と言ったら、「ボクはそんなのぜってーできないっす。ああ、でもカミさんは子供とかと好きな子がいるいないって話してるみたいなんですよね。でもボクは無理!」って返事されました。まあ、父親と母親の違いはあるけれど、ウチではそんな話ができる雰囲気だけは作っておきたいと思 うんです。先日も娘と避妊の方法にはどういったものがあるか、とか話してましたよ。
自分たちが持つ身体は不規則に脈打ちながら不安定なバランスで機能しているから、それらがどのように働いているかを知って、娘がこれからも自分の身体を大事にしていって欲しいと思うんです。今は情報はどこでもゲットできるけど、それが間違った情報か否かは自分で判断しないといけない。
何を大事にするかということも一緒に話せる時に話したいと思うんです。

若いころだけでなく、娘が大人になって、たとえ中年になっても、もし困ったことがあったら話せるような雰囲気をね、母は作りたいと思っているんですよ。

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