2010年11月7日日曜日

地を這う祈り

今日はGさんが朝から「チェーザレ」を一気読みしていて、お茶を飲んでいても続きが読みたいらしく、あんまり相手をしてくれない。娘も朝からお出かけ。よって私も本を読む。


「地を這う祈り」はノンフィクション作家、石井光太の写真エッセイ。石井光太のノンフィクションが好きで何冊か読んでいるのだが、貧困層の人々の暮らしを知りたいとか何とかしたいとかそんな動機ではなく、彼の旅での、違う価値に出あった時の文章が好きなのだ。
等身大の人間の対人間の言葉である。

初の写真エッセイだということなので、早速買ってみた。
amazonの紹介では、

”路上で血を流しながら喜捨を求める少年、全身イボだらけの物乞い、誰にも看取られることなく道端で死んでゆく少女売春婦、シンナーに溺れるストリートチル ドレン、路上で祖母を看取る少女――。 15年にわたる海外取材で撮りためた数万点の中から厳選した写真は、我々日本人の常識を根底からくつがえす圧倒的な衝撃度だ。”

と書いてあるが、個人的にはその衝撃を受けたい訳ではなくて悲惨な生活と自分を対比させたい訳でもなくて、その取材を通して石井氏がどんな風に感じたり思ったりしたのかを読みたかったのだけど、写真の紹介にほぼ留まっていて...、エッセイよりルポのほうが構成があって読み応えがある、かな。(まあ当たり前か)
けれど、以前に読んだ本と一緒にめくるとより文章が鮮明になる。
 
「レンタルチャイルド」
「物乞う仏陀」
「神の棄てた裸体 ―イスラームの夜を歩く―」
「絶対貧困」


「取材の裏側」の章にて、興味深い部分があった。

ただ、取材というのは、必ず当初の「予想」を覆すものです。たとえば少女売春婦はイヤイヤながらに売春宿で働かされているんだろうな、と考えていってみると、十一、二歳の子達があぐらをかいて笑いながら「今日、私は五人もお客さんがついたのよ。」なんて自慢してきたりする。
取材とは想像を粉々に壊すためにすることなのです。

世界には様々な文化と価値観がある。その多様さを知りたい、自分がいる場や慣習、文化での考え方だけでは無いんだと、はっとする瞬間を感じたくて、私は本を読む。


地を這う祈り












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