2010年9月8日水曜日

ミトコンドリア・ミステリー

なぜか、ミトコンドリアにひかれてしまう。
ミトコンドリアが進化を決めた、とか、ミトコンドリアのちからも面白かったけどこの本も、ごっつ面白い。
ミトコンドリアの機能に関する解説というよりは、筆者らの情熱と知力と技術でもって仮説を証明していくそのプロセスが、犯人は誰だ?的なミステリーであり、主人公は鍵を手に入れた的な冒険ものでもあるようで、読んでいる間ずっとわくわくしていた。

細胞がん化の原因がミトコンドリアではないこと、ミトコンドリアは固体が死んでも環境が整えば細胞として生き続けることができる、という部分も興味深かったが、さらに、常に酸化リスクにさらされるミトコンドリアDNAには突然変異によるダメージが蓄積されやすいからといって、老化ミトコンドリア原因説は成立しないことを実証するプロセスの部分は圧巻。
老化に伴うエネルギー欠損の原因はミトコンドリアにあるわけではなかった。(そのメカニズムはまだ分かっていない。)

ミトコンドリアは、相互に物質交換し融通しあうことで、ダメージを最小限に食いとどめるというユニークな防衛システムを持つ、ということだ。ばらばらの細胞小器官のように見えたミトコンドリアはあたかもひとつの生命体のようにネットワークを作り、酸化ストレスから身を守っていた。

これを読んでうっとりするのは私だけでは無いはず...、なんだけど、
この気持ち、なかなか分かってもらえないのが残念。



ミトコンドリア・ミステリー


















蛇足。筆者は十分な動物実験が済んでいないのに人体での実験・検証は行うべきではないと主張しているが、マウスなどの遺伝子操作の実験はしまくってもいいのか、マウスではよくて人体ではダメ、の、その線引きはどこなんだろうか、と、ふと考えてしまった...。

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