わが家ではもう何年も新聞をとっていないので、学校で
「新聞記事について思うところをレポートするように」
的な宿題がでると、困ってしまう。
「じゃあ、今日の新聞買っておいでよ」と言うと、
「今日の記事に気に入ったのが載っているかわかんないじゃん。新聞とろうよ。」
という話へ突入する。
「読む時間無い新聞に年間何万円も払って、そしてさ、誰が古新聞束ねるの?
勧誘のおじさんにだって怖い目にあったじゃん。」
という流れで、とりあえず、今回は朝日と日経を買ってきて該当の宿題を済ませてもらった。
(母ははどんな宿題か知らないのだが。)
そして使用済みの新聞紙が紙ごみの日にまとめてあったので、
ふむふむと記事に目を落としてみたら切り取られた記事の後ろに、
「悩みのるつぼ」が。それも車谷長吉さん担当分ではないですか。
車谷さんの回答は、すがすがしく潔い。
一部、切り取りがあって、読めなかったものの、こんなふう。
(悩み)80近い夫がまた悪い癖を(高齢者の集まりで、夫が浮気を。相手には夫ある身。)
(車谷さんの回答)
----前略----
つまり、あなたは虚栄心の強い人です。世間の人から笑われたくないと、自分の体面ばかりを気にしています。だから、あなたの夫はそこにつけ込んで、浮気を繰り返してきたのです。責任の半分はあなたにあります。
自分の世間体など捨ててしまえばよいのです。恥をかいて、醜態をさらせばいいのです。道の真ん中で、夫とその女に怒鳴り散らせばよいのです。泣きわめけば
よいのです。そして近所の人たちに事実を知ってもらえばよいのです。その女の家へ怒鳴り込んでいき、女の夫にも知ってもらえばよいのです。そうすれば気が
楽になりますよ。しかし多くの女は虚栄心が強いので、それが出来ません。
うちの嫁はんも同様の女なので、私の醜態や問題発言を、朝日新聞のこの「悩みのるつぼ」に投書すると言うています。載るのが待ち遠しいことです。ところが自分の醜態や問題発言は、棚に上げています。大したものです。
が、それはそれとして、浮気の好きな男の性根(しょう・ね)は一生直りません。浮気の好きな女もそうです。そういう男、女を私は何人も見てきました。され
ば、あとは一日も早く、夫またはあなたが死ぬのを待つしか、手段はありません。夫を殺してあなたも自殺することが考えられますが、あなたの子・孫・ひ孫・
その他に大きな迷惑が及びます。恐ろしいことです。だから、私はお勧めはできません。
----後略----
車谷さんの本は赤目四十八瀧心中未遂を呼んだきりなのだが、
それだって言葉の力に引きずりこまれ圧倒された。
この回答のような生き方の是非はともかく、やはり引き込まれてしまう。
(浮気の話に、というわけじゃあありません。念のため。他の相談への回答も車谷色が濃いんです。)
朝、新聞紙の切れ端を座り込んで読んでしまった。
■■■
先日、出張の朝にいつもより早い時間に娘と一緒に家を出た。
「おや。この時間に出て学校間に合うの ?」
「間に合わないよ。」(平然)
「いいの?いつも間に合っていないわけ?」(←間に合う時間を把握してない母)
「いつもは間に合ってるよ。今日は、もうあきらめた。
遅れていったら礼拝の後ろのほうに座るの。授業は間に合うから。」
娘は、平然と悠然と歩いている。
思えば小学校のころ、娘の担任の先生にも
「しっかりして、明るくて前向きで、逆に、こんな頑張って大丈夫かなと思うんですよ。」
と言われたものだが。
ところがどうよ。
今は余裕で補講受けちゃうし、夏休みの宿題は夏休み後にはじめるし、
遅刻も普通にあったのか。
そして、母との言い合いも、日常となっている。
でも小学校のころの娘は、どこか張り詰めていて、
どこかまわりの大人に気を使っていたような気がしていたのだ。
母も、いっぱいいっぱいで、娘に反抗させる時間や気持ちの余裕って無かったような気がする。
自分の管理、娘の管理、タイムスケジュールをこなすことに精一杯だった。(としておく。)
今は。
娘は自分のことは時々はつまづきながらも自分でやれるようになり、
自分で考えてすべてに頑張らなくてもいいと思うようになったのだろうか。
(本当は全てにきっちりやってくれると大変ありがたいのだが。でも外面がいいのは相変わらずだ。)
母も維持運転モードに入ったので
お互い、ぐだぐだと、安心して言い合えるようになったのかもね。
なんとなくさ、健全な匂いがする。
だから、まあ、いいや。
遅刻も補講も、それからやっつけ宿題もね。
返信削除健全ですね。
中ニだしね。
…じゃ、そゆことで。悠然と、歩く速さで(^^)
アンダンテ さま。
返信削除小学校のころのほうが、
素直で手がかからない娘だったんですけどね。
今の、のびのびと口げんかしあうほうが
自然な感じがします。
女子校も楽しそうですね。
(この先ちょっと怖いけど)