2011年10月29日土曜日

イヴの7人の娘たち

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本日、風邪でダウン。起きては読み、つかれて眠る、そしてまた読む...を繰り返して、メモを書きにもそもそと起きる。 
出版が2001年と11年も前なので、今はまた新たな説も加えられているかもしれないが、ミトコンドリア好きなもんで読んでみたくなった1冊。科学ドキュメンタリー。


ミトコンドリアDNAは必ず母親から子に受け継がれる。ゆえにミトコンドリアDNAをたどっていくと全人類に共通の祖先(母)がアフリカにいたとされる、「ミトコンドリア・イブ」の話は有名である。イブの娘らに共通する条件は2つあり、1つめは娘を産んだこと、そして2つめは、二人の娘を産んでいることである。また、ミトコンドリアDNAは組換えを経ることがないため、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみによると考えることができ、約1万年に1回の割合であることが解析的に分っている。

オックスフォード大学の人類遺伝学教授の著者ブライアン・サイクスは、化石化した古い人骨からDNAを抽出することに成功した同分野の第一人者であり、本書では6億5000万人にのぼる現代ヨーロッパ人の母系祖先は7人の女性(アースラ、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、タラ、カリトン、ジャスミン)に分類できるとしている。また男系の父親から息子へと引き継がれるY染色体を解析した結果も同じ結論にたどりついた。女の歴史と男の歴史は遺伝学的に一致したのだ。
新石器時代の農民は間違いなく重要な存在で20%は彼らを祖先とするが、その他80%の現代ヨーロッパ人の遺伝子プールの母体を作り上げたのは、旧石器時代の狩人たちだった。

どちらの学説が正しいのかという学者同士の攻防戦や、ヨーロッパの祖先はどこから来たのか、ネアンデルタール人とクロマニヨン人のクラスターが交じり合った痕跡を果たして見ることができるのか、といった謎に挑む臨場感が、とてもスリリングに書かれていて読み飽きない。また、7人の娘たちの物語も時代背景とともに語られている。(ドラマっぽい)
ただし、もうすこし専門的な話(分析の仕方、統計処理の方法、図や絵)があるともっと奥行きのある読み物になるのに、と思うのは欲張りすぎか...。

あ!続編もある..... ぢゃないか。


イヴの七人の娘たち









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